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2009年12月

2009年12月14日 (月)

出会い そして 別離の いのち

中村薫講話集6「出会い そして 別離の いのち」を読ませていただいた。

何年か前に、中村薫さんのお話を伺ったことがあるが、そのときのお話も感銘深いものだったけれど、この本には、非常に感銘を受けた。

正直なところ、この本の内容の重さ、深さの前に軽々しく感想は書けないという思いである。

一節を引いてみたい。

とうてい、こころ安らかに「人間に生まれてきてよかったね」と、ゆったり生きていけるそんな世界ではないからです。

子どもからお年寄りまで、いのちをむしばむようなたいへんな状況にあるのが現代日本の現状です。

 そんなことを改めて感じますので、そのことに関して私は、これから深い関わりを持っていきたいと思います。

厳しい現実に向かい合ってきた中村薫さんだからこその認識と決意だといえる。

この一節に限らず、この本は、上のような「現代日本の現状」を思うとき、お念仏に向き合うことの大切さを深く知らされる本であった。

ご一読を勧めたい。

2009年12月13日 (日)

霧のむこうのふしぎな町

たけのっ子劇場公演「霧のむこうのふしぎな町」が無事終了しました。

子どもたちや関わった人たちの努力で、いい公演になったと思います。

2009年12月10日 (木)

いのちの大切さ 伝えるゾ  たけのっ子劇場

いのちの大切さ 伝えるゾ
豆役者二十二人仕上げに熱
越前市の劇団13日公演

今日の「福井新聞」には、たけのっ子劇場の公演を取り上げた記事が載った。
その記事の一部を紹介しておきたいと思う。

    越前市の子ども劇団「たけのっ子劇場」第8回公演「霧のむこうのふしぎな町」は13日、導師文化センターで開かれる。同名の児童文学を題材に、魔法の世界に迷い込んだ少女の成長を、歌や踊りを織り交ぜながら丹念に表現する。5月からの厳しいけいこを乗り越えてきた子どもたちは、本番に向け一丸となって最終調整に励んでいる。
   
     「たけのっ子劇場」は市内の老舗劇団「たけぶ絵」が、子どもに創作する楽しさを伝え、地域振興につなげていこうと二千二年に設立。毎年メンバーを募集し、元同劇団長の柴野千栄雄讃(66)が書き下ろした脚本をもとに、元気よく子どもミュージカルを上演、好評を博している。
     今年の演目は、スタジオジブリのアニメ「千と千尋の神隠し」に影響を与えたとされる柏葉幸子さんの児童文学を題材に取り入れた。
     ”小学生の少女がピエロにいざなわれるまま霧を抜けると、魔法が飛び交う異世界に迷い込む。町の住人たちとの交流を通し、見過ごしてきた生命の大切さなどを学ぶ”というストーリーで、同市や南越前町の園児から中学一年生まで22人が演じ、運営面で支えてきた保護者7人も脇役で特別出演する。
    (後略)
     

ということで、今一度公演についてお知らせしておこう。

  第8回たけのっ子劇場公演

「霧のむこうのふしぎな町」 

原作 柏葉幸子

脚本・演出 柴野千栄雄

日時 2009年12月13日(日) 午後2時開演

会場 越前市文化センター大ホール

チケット 一般 1000円 小中学生 800円 (幼児無料)

チラシの裏に書かれている物語の紹介をここに書いておきます。

~ものがたり~

リナは小学6年生。夏休みのある日、リナはお父さんがいるという「霧の谷」に一人で出かけた。源さんのリヤカーに乗って霧の谷をぬけると、おとぎの国のような不思議な町があらわれた。そこで出会った、「ピコット屋敷」のピコットばあさんと発明家のイッちゃん、料理人のジョン、そうじ係のキヌさん、ジェントルマンといったへんてこな住人たち。ここではみんな「働かざる者、食うべからず」

ピコット屋敷に下宿することになったリナは、ピコットばあさんに言われるまま、「生活費」を自分で稼ぐため。ナータの本屋さんで働くことになるが・・・。

一人の女の子が、霧の谷の人たちとさまざまな出会いの中で、今まで何気なく見過ごしてきた大切なことに気づき、成長していく模様を、楽しく、ちょっと切なく描く、子どもも大人も楽しめるファンタジーミュージカル。原作は、映画「千と千尋の神隠し」の原案にもなったロングセラーの児童文学作品です。

霧のむこうのふしぎな町

原作 柏葉幸子

脚本・演出 柴野千栄雄

作曲 一途(いちず)

振付 坪田律子

基礎レッスン指導 北島正徳

歌唱指導 脇田淳子

 「霧のむこうのふしぎな町」を劇にしてくださって、とてもうれしく思っています。

 リナがピコットばあさんが、霧の谷のみんなが、皆さんの心の中に住み込みますように!

                                   柏葉幸子

2009年12月 9日 (水)

心コロコロ介護のこころ

川村妙慶さんと川村寿法さんの共著「心コロコロ介護のこころ」が出るそうです。

寿法さんは、妙慶さんのお兄さん。

ブログも作っておられ、ご法話やお芝居などでもご活躍。西蓮寺のご住職。

お目にかかったことはありませんが、ブログを拝見したり、妙慶さんの御著書で寿法さんのことを読んだりしていますので、親しみがあります。

ネット書店では、まだ予約受付のようですので、読むのには今少し時間がかかるようですが、妙慶さんが介護の本に取り組んでおられるとも聞いておりましたので、読んでみようと思っております。

2009年12月 8日 (火)

成道会

今日は成道会(じょうどうえ)です。

お釈迦様が悟りをお開きになった日です。

35歳の時、苦行をやめ、菩提樹の下で悟りを開かれました。

今日は、お釈迦様のことや仏教についてを、少し考えてみませんか?

2009年12月 6日 (日)

もうひとつの物差し

「毎日新聞 日曜くらぶ」の「心のサプリ」で、海原純子さんが「もうひとつの物差し」を書いています。

それによると、「今、自信がなくて元気がない人が日本人に多いのは、『世間の物差し』しか持ってない人が多いから」だということです。 

一方アメリカは、日本より格差がはっきりしていて、お金を持つことが明確に価値とされる物差しが存在するが、「世間の物差し」しか持ってない人は、日本人より少ない。

「世間の物差し」と別の物差しを持てば、勝ち組には慣れなくても、人生

を楽しむゆとりができる。対人関係も同様で、役に立つ人とだけつきあ

おうとせず、自分が一緒にいて楽しくくつろげる相手と関わるようになる

から、いい仲間ができる。

「世間の物差し」とは、金で価値を計る物差しといっても差し支えないでしょう。

金で価値を計るだけでは、見えない物が多すぎるように思われます。

アメリカ人には、「『世間の物差し』とは別の物差し」を持った人が多いといわれてい

すが、これは、とても大切なことなのだと思います。

「仏さまの物差し」は、金で価値を計るものではありません。

目盛りが、人間の物差しとは桁違いに大きく、(あるいは、目盛りがないのかもしれ

ません)すべてを平等に扱います。

私たちも、「世間の物差し」のほかに、「仏さまの物差し」があることを知り、その前

では、いたずらに価値を比べられたりしないのだと知っている。

そういうふうに認識を変えると、もっと自信や元気が出手来るのではないでしょう

か。

妙慶尼流「悩む女」こそ「幸せ」になれる  抜き書き

『妙慶尼流「悩む女」こそ「幸せ」になれる』の表紙には、蓮の花の絵が使われてい

ます

それに関連して、「はじめに」より。

 この本の表紙は「蓮の花」です。

蓮は、日の光をいっぱいに浴びて、水面にきれいな花を咲かせますね。

実はこの花を咲かせているのは、暗くて深い泥の中に蓮が張り巡らせている

「根」なのです。

「泥」と聞くと、ちょっと「汚い」と感じてしまうかもしれません。

でも、泥の中にあるたくさんの栄養を根が取り入れてくれるからこそ、蓮はき

れいな花を咲かせることができるのです。

“日の光”と“泥の栄養”、この二つから蓮は花を咲かせるのです。

そしてその泥が私たちの抱えている苦悩なのです。

きれいな花も泥から栄養をとっている。そして泥とは「苦悩」なのである、とありま

す。

仏教では、蓮の花は重要な花です。

仏さまは、蓮台に乗っておられます。

泥があってこそ花ひらく。

苦悩があるかからこそ、人生が花ひらく、ということなのでしょう。

苦悩に必要以上に執着することはありませんが、苦悩があるからこそ、私たちの

人生も輝くといえるのでしょう。

そんなことを教えていただいているのだなあと思って、この一節を味わいました。Photo

2009年12月 5日 (土)

霧のむこうのふしぎな町 柏葉幸子作

たけのっ子劇場公演の原作である「霧のむこうのふしぎな町」 柏葉幸子作 を青い鳥文庫(新装版)で読みました。

ミュージカルは、原作を脚色しているので、設定を変えているところもあるようですが、霧の谷で繰り広げられるファンタジックなお話が、舞台になるとどうなるのか、楽しみです。

「千と千尋の神隠し」が、このお話をヒントにしているということですが、何となくキャラクターにも似ているところが感じられ、「千と千尋」と比べながら読んだり、ミュージカルを見たりするとおもしろいかもしれません。

「千と千尋」は舞台設定が少し大がかりですが、その点、この物語は素朴で、どこかにありそうな、それでいてなんだか不思議な霧の谷で、主人公リナが、ピコットばあさんの言いつけで、(働かざる者食うべからずがモットー)あちこちで働く体験が中心です。ファンタジックなところももちろんありますが、子どもが働く体験からいろいろなことをつかみ取っていくというのは、あるいは現代の子どもたちにちょっと忘れられているものを見せてくれているのかもしれません。

たけのっ子劇場の公演について、今一度お知らせしておきます。

第8回たけのっ子劇場公演

「霧のむこうのふしぎな町」 

原作 柏葉幸子

脚本・演出 柴野千栄雄

日時 2009年12月13日(日) 午後2時開演

会場 越前市文化センター大ホール

チケット 一般 1000円 小中学生 800円 (幼児無料)

妙慶尼流「悩む女」こそ「幸せ」になれる

川村妙慶さんの『妙慶尼流「悩む女」こそ「幸せ」になれる』を読了。

文庫本ということもあり、手に取りやすく読みやすい、それでいながら仏教(浄土真宗)の教えの深いところまで教えてくださる本です。

『恋愛駆け込み寺』の文庫化ということですが、新しく書かれているところも多く、『恋愛・・・』とはまた違ったお味わいのある本になっています。

今回、この本を読んで、『観無量寿経』について深く教えていただくことができました。

観経については、先日ご法話で取り上げさせていただきましたが、もう一つ深く観経のお味わいをいただかせていただきました。

「悩む女」の方に手にとっていただきたいのはもちろんですが、「悩む男」にも、そして悩みがないという方にとっても、読んでいただきたい本です。

お薦めの一冊です。

2009年12月 3日 (木)

「都市の微熱」を読む

鷲田清一さんの『都市の微熱』は、時代劇ドラマ「JIN-仁-」の中のやりとりを紹介しています。(「毎日新聞」)

主人公がペニシリンを作るために醸造家に支援を頼み、その際、「あなたの器の大きさを見てみたい」といわれました。

奔走するも果たすことかなわず、もう一度醸造家に頼みにいくことに・・・

 「私の器は小さなものでした。

 一人では何もできないことをいやというほど知りました。

 その上でどうしてもなんとか・・・」と土下座する。

  返ってきた答えは、「それがあなたの器です。

 あなたの器は小さい。

 あなたの器は多くの人の力を吸い込む」

このやりとりをどう思われるでしょうか?

主人公は、自分の器の小ささを自覚するに至りました。

自分の器の小ささを知ることは、ある意味で辛いことであると思います。

しかし、それを知ったとき、開ける道もあるのではないでしょうか。

醸造家は、器の小ささを自覚した主人公に「あなたの器は多くの人の力を吸い込む」といい、支援をしました。

私には、この醸造家のあり方は、阿弥陀様のあり方に近いように思われます。

自分をきちんと知る。その上で、その「器の小ささ」に気づいたものを助けようとする。

これは阿弥陀様のみ光に自分の本当の姿が映し出され、阿弥陀様が衆生を救おうとなさる姿に重なってくるように私には思われます。

鷲田さんの主意は、別のところにあるかとも思いますが、そういう次第で、私はこのやりとりを味わわせていただきました。

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