新井満さんの『死の授業』を読む。
NHKテレビで放送された『課外授業 ようこそ先輩 死の実験と生きる役割 作家 新井満』がもとになっているという。
新井さんの授業の目的は、死の疑似体験を通して死を見つめ、そこから生きる役割へを認識するところにあると言ってよいだろう。
大切なものを絵に描き、それを燃やすことで中学生に死を疑似体験させる。
巻末の鼎談「生きる役割」で新井さん自身、この実験はつらかったと述べているが、それは、死がそれだけ重大事であるということをも示しているのだろう。
新井さんは事後のカウンセリングにかなり時間をかけたという。
その一部も「翌日、再び教室で」という章に収められている。
「死は悲しい、生きていることはすばらしいと骨の髄まで実感した人間でないと、命 の役割まで考えられないのではないでしょうか。」
新井さんのこの言葉が、この本の主張であるように思われる。
でも、人生のスタートが誕生ならば、
人生のゴールは死なのです。
死に向かって私たちは、生きているのです。
死は忌み嫌うものではなく、人生のゴールと意識するのがいいのだろう。
ゴールを見据えた上での生、ということを意識したい。
されば、人間のはかなき事は、老少不定のさかいなれば、たれの人もはやく後生の一大事を心にかけて、阿弥陀仏をふかくたのみまいらせて、念仏もうすべきものなり。(蓮如「御文章」)
その生が、お念仏とともにあるとすれば、すばらしいと思う。
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