お寺の教科書
『お寺の教科書 未来の住職塾が開くこれからのお寺の100年』(松本紹圭・井出悦郎)を読む。
未来の住職塾での講義がもとになっている本であるが、エッセンスがいかんなく詰め込まれていると言ってよいだろう。
これからのお寺に求められるのは「みんなの寺」としてのお寺。
この本が提示するお寺像は、立場がどうであれ、一考される価値があるものだと感じる。
「開かれたお寺づくり」だとか「お寺の可能性を引き出す」といった帯の言葉にそのあたりは言い表されているものと思われる。
ただ、このような言葉は、単に新しいものを求めているだけの言葉ではなく、お寺の持ついろいろな価値をもとに、その価値を埋もれさせるのではなく、みんなに広く開こうとするものである。
「経営」といった言葉も散見されるが、「経営」とはそもそも仏教語であり、「人生をどう営むか」「自分をどう活かすか」といった意味合いであって、お金儲けを意味するものではない。お寺の金儲けとは無縁の本であることは断っておきたい。
この本は「お寺の教科書」と銘打ってはいるが、こうすればお寺がうまくいくとか、お寺はこうしなければならないといったことが書いてあるのではなく、あくまでもみんなの中でお寺がいかにその可能性を発揮するか、そのための下準備の仕方を伝えてくれる本であると思う。
お寺のあり方、檀信徒のあり方、お寺は千差万別であり、問われるべきはそのお寺の使命やお寺をとりまく人の志だと思われる。
そこの所をとても刺激してくれる本。
できれば、お寺を取り巻く人たちと一緒に読みたいものである。
正善寺からのお知らせ
彼岸会 9月22日(日) 午前10時より
どうぞお参りください。
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