« (9)親鸞の教え | メイン | (11)復興に向け »

2011年5月 7日 (土)

(10)縁起の教え

「親鸞なう」「(10)縁起の教え」は上田紀行さんが登場。

文化人類学者だが、「癒やし」を考え、「お寺ルネッサンス」「仏教ルネッサンス」として、お寺や仏教に関する発言も多い方。

「日本の仏教はありがたい話をするだけで、実際に苦しんでいる人たちに何もしないというイメージを持たれている。教えが実践に結びついているのか、いま問われている」。

冒頭のこの言葉は、現在の仏教、お寺の在り方の問題点を鋭く突いている。

お寺や僧侶のネットワークや実地の活動に対しては、この方はエールを送ってくれている。

「東南アジアの貧しい子どもたちの教育支援、自殺やホームレス問題、ハンセン病救済などに携わる僧侶たちが、そこでの経験を生かして自発的に動いた。何としても救いたいという慈悲の心が僧侶たちの根底にある」

僧侶達が慈悲を体現するということに対しては非常に好意的だ。

ある意味、慈悲の実践の在り方が僧侶に問われているのかと思う。

「今回の震災での死者、行方不明者数は2万6千人以上に上っている。とんでもない災害だと思っていたが、震災に近い数の人が毎年自ら命を絶っていることに気付き、ハッとした」

震災の傷跡を地獄と呼ぶなら、私たちの社会にはまさに地獄が存在しているのかもしれない。

震災は現象として我々に直接訴えかけるが、年間3万人を超える人が自死しているこの社会の闇は深い。

「私たちがご先祖様として、次の世代にどのような社会を残していくのか。『前』との縁起を説く必要もある」

 「ご先祖様に感謝しながら、子どもたちの未来をつくりだしていく。両方が縁起の考え方だと思う。今の社会のどこがいけないのか、みんなで考えなければいけない。未来をつくることは、被災者の救済につながっていく」

私たちは「縁起」を仏教の根本だとして大切にするが、確かに「後ろ」との関係でばかり説いている。

「因縁生起」を略したものが「縁起」だが、原因と結果について考えを致せば、未来へのご縁も当然視野に入れなければならないだろう。

仏教の陥穽を鋭く突く発言だと言える。

余談なんだけれど、この人の奥さんはNHKアナウンサーの武内陶子さんだと初めて知った。ちょっとびっくり。(無知?)

トラックバック

このページのトラックバックURL:
http://app.mitelog.jp/t/trackback/401500/26430421

(10)縁起の教えを参照しているブログ:

コメント

コメントを投稿

Powered by Six Apart

カウンターなど