本・新聞 Feed

2009年12月14日 (月)

出会い そして 別離の いのち

中村薫講話集6「出会い そして 別離の いのち」を読ませていただいた。

何年か前に、中村薫さんのお話を伺ったことがあるが、そのときのお話も感銘深いものだったけれど、この本には、非常に感銘を受けた。

正直なところ、この本の内容の重さ、深さの前に軽々しく感想は書けないという思いである。

一節を引いてみたい。

とうてい、こころ安らかに「人間に生まれてきてよかったね」と、ゆったり生きていけるそんな世界ではないからです。

子どもからお年寄りまで、いのちをむしばむようなたいへんな状況にあるのが現代日本の現状です。

 そんなことを改めて感じますので、そのことに関して私は、これから深い関わりを持っていきたいと思います。

厳しい現実に向かい合ってきた中村薫さんだからこその認識と決意だといえる。

この一節に限らず、この本は、上のような「現代日本の現状」を思うとき、お念仏に向き合うことの大切さを深く知らされる本であった。

ご一読を勧めたい。

2009年12月 9日 (水)

心コロコロ介護のこころ

川村妙慶さんと川村寿法さんの共著「心コロコロ介護のこころ」が出るそうです。

寿法さんは、妙慶さんのお兄さん。

ブログも作っておられ、ご法話やお芝居などでもご活躍。西蓮寺のご住職。

お目にかかったことはありませんが、ブログを拝見したり、妙慶さんの御著書で寿法さんのことを読んだりしていますので、親しみがあります。

ネット書店では、まだ予約受付のようですので、読むのには今少し時間がかかるようですが、妙慶さんが介護の本に取り組んでおられるとも聞いておりましたので、読んでみようと思っております。

2009年12月 6日 (日)

もうひとつの物差し

「毎日新聞 日曜くらぶ」の「心のサプリ」で、海原純子さんが「もうひとつの物差し」を書いています。

それによると、「今、自信がなくて元気がない人が日本人に多いのは、『世間の物差し』しか持ってない人が多いから」だということです。 

一方アメリカは、日本より格差がはっきりしていて、お金を持つことが明確に価値とされる物差しが存在するが、「世間の物差し」しか持ってない人は、日本人より少ない。

「世間の物差し」と別の物差しを持てば、勝ち組には慣れなくても、人生

を楽しむゆとりができる。対人関係も同様で、役に立つ人とだけつきあ

おうとせず、自分が一緒にいて楽しくくつろげる相手と関わるようになる

から、いい仲間ができる。

「世間の物差し」とは、金で価値を計る物差しといっても差し支えないでしょう。

金で価値を計るだけでは、見えない物が多すぎるように思われます。

アメリカ人には、「『世間の物差し』とは別の物差し」を持った人が多いといわれてい

すが、これは、とても大切なことなのだと思います。

「仏さまの物差し」は、金で価値を計るものではありません。

目盛りが、人間の物差しとは桁違いに大きく、(あるいは、目盛りがないのかもしれ

ません)すべてを平等に扱います。

私たちも、「世間の物差し」のほかに、「仏さまの物差し」があることを知り、その前

では、いたずらに価値を比べられたりしないのだと知っている。

そういうふうに認識を変えると、もっと自信や元気が出手来るのではないでしょう

か。

妙慶尼流「悩む女」こそ「幸せ」になれる  抜き書き

『妙慶尼流「悩む女」こそ「幸せ」になれる』の表紙には、蓮の花の絵が使われてい

ます

それに関連して、「はじめに」より。

 この本の表紙は「蓮の花」です。

蓮は、日の光をいっぱいに浴びて、水面にきれいな花を咲かせますね。

実はこの花を咲かせているのは、暗くて深い泥の中に蓮が張り巡らせている

「根」なのです。

「泥」と聞くと、ちょっと「汚い」と感じてしまうかもしれません。

でも、泥の中にあるたくさんの栄養を根が取り入れてくれるからこそ、蓮はき

れいな花を咲かせることができるのです。

“日の光”と“泥の栄養”、この二つから蓮は花を咲かせるのです。

そしてその泥が私たちの抱えている苦悩なのです。

きれいな花も泥から栄養をとっている。そして泥とは「苦悩」なのである、とありま

す。

仏教では、蓮の花は重要な花です。

仏さまは、蓮台に乗っておられます。

泥があってこそ花ひらく。

苦悩があるかからこそ、人生が花ひらく、ということなのでしょう。

苦悩に必要以上に執着することはありませんが、苦悩があるからこそ、私たちの

人生も輝くといえるのでしょう。

そんなことを教えていただいているのだなあと思って、この一節を味わいました。Photo

2009年12月 5日 (土)

霧のむこうのふしぎな町 柏葉幸子作

たけのっ子劇場公演の原作である「霧のむこうのふしぎな町」 柏葉幸子作 を青い鳥文庫(新装版)で読みました。

ミュージカルは、原作を脚色しているので、設定を変えているところもあるようですが、霧の谷で繰り広げられるファンタジックなお話が、舞台になるとどうなるのか、楽しみです。

「千と千尋の神隠し」が、このお話をヒントにしているということですが、何となくキャラクターにも似ているところが感じられ、「千と千尋」と比べながら読んだり、ミュージカルを見たりするとおもしろいかもしれません。

「千と千尋」は舞台設定が少し大がかりですが、その点、この物語は素朴で、どこかにありそうな、それでいてなんだか不思議な霧の谷で、主人公リナが、ピコットばあさんの言いつけで、(働かざる者食うべからずがモットー)あちこちで働く体験が中心です。ファンタジックなところももちろんありますが、子どもが働く体験からいろいろなことをつかみ取っていくというのは、あるいは現代の子どもたちにちょっと忘れられているものを見せてくれているのかもしれません。

たけのっ子劇場の公演について、今一度お知らせしておきます。

第8回たけのっ子劇場公演

「霧のむこうのふしぎな町」 

原作 柏葉幸子

脚本・演出 柴野千栄雄

日時 2009年12月13日(日) 午後2時開演

会場 越前市文化センター大ホール

チケット 一般 1000円 小中学生 800円 (幼児無料)

2009年12月 3日 (木)

「都市の微熱」を読む

鷲田清一さんの『都市の微熱』は、時代劇ドラマ「JIN-仁-」の中のやりとりを紹介しています。(「毎日新聞」)

主人公がペニシリンを作るために醸造家に支援を頼み、その際、「あなたの器の大きさを見てみたい」といわれました。

奔走するも果たすことかなわず、もう一度醸造家に頼みにいくことに・・・

 「私の器は小さなものでした。

 一人では何もできないことをいやというほど知りました。

 その上でどうしてもなんとか・・・」と土下座する。

  返ってきた答えは、「それがあなたの器です。

 あなたの器は小さい。

 あなたの器は多くの人の力を吸い込む」

このやりとりをどう思われるでしょうか?

主人公は、自分の器の小ささを自覚するに至りました。

自分の器の小ささを知ることは、ある意味で辛いことであると思います。

しかし、それを知ったとき、開ける道もあるのではないでしょうか。

醸造家は、器の小ささを自覚した主人公に「あなたの器は多くの人の力を吸い込む」といい、支援をしました。

私には、この醸造家のあり方は、阿弥陀様のあり方に近いように思われます。

自分をきちんと知る。その上で、その「器の小ささ」に気づいたものを助けようとする。

これは阿弥陀様のみ光に自分の本当の姿が映し出され、阿弥陀様が衆生を救おうとなさる姿に重なってくるように私には思われます。

鷲田さんの主意は、別のところにあるかとも思いますが、そういう次第で、私はこのやりとりを味わわせていただきました。

2009年10月21日 (水)

浄土三部経のこころ

加藤智見さんの御著書「浄土三部経のこころ」を読みました。

阿弥陀経はあげる機会も多く、御門徒の方もよく知っておられるお経ですが、お経の内容は?ということになるとなかなか難しいとお感じになっているかもしれません。(漢文ですしね。)

大経と観経になると、御門徒の方があげられるということは少ないでしょうし、僧侶があげているのを、意味がわからんがお経だからありがたいのだろう。と思いながら聞いておられるという感じかと思います。

浄土真宗のよりどころとなる経典は、浄土三部経ですので、このお経について理解していただくのは、とても大切なことです。

この御本は、三部経の大切なところをやさしい言葉でわかりやすく説いてくださいます。

薄い本で、手に取りやすい本です。読むのに、それほど時間もかかりません。

お寺さんが上げてるお経には、何が書かれているのか?興味がある方は、ご一読ください。

2009年10月 8日 (木)

ぞうきん

以前は、お掃除というとぞうきんとほうき、ちりとりでした。

最近は掃除機やモップに変わってしまったのかもしれませんが、ぞうきんのことを考えてみましょう。

これも「心のしおり」に掲載されたものです。表記は新聞掲載時と変えているところがあります。

ぞうきん

 榎本栄一さんは何気ない日常を詩の題材に深い教えを私たち前に提示してくれます。その詩に「ぞうきん」と題する一編があります。

 ぞうきんは

 他のよごれを

 一生けんめい

 ふいて

 自分はよごれにまみれている

 私たちは、ぞうきんを汚いものとして扱ってしまいがちです。しかし、ぞうきんのあり方をよく考えるとき、ぞうきんが私たちを導いてくれるのです。
 ぞうきんは「他のよごれをふ」くものです。ぞうきんによって周りのものは、美しく保たれ、その輝きを見せてくれます。しかしながら、他のものをきれいにしたぞうきんは、ふけばふくほど汚れていきます。このぞうきんのあり方を私たちと比べてみましょう。
  私たちは、自分の身の美しいことを願います。そして汚れを遠ざけ、ある場合には汚れを他に押しつけます。浅ましい姿ですね。
 一方、他の汚れを一身に受けるぞうきんは、他を輝かせていきます。
  このようなぞうきんのあり方に気づくとき、私たちはぞうきんに感謝の意を込めて手をあわせなければなりません

2009年9月18日 (金)

あなたは、あなたでいい

Photo

永代経でご縁をいただいた川村妙慶さんの新しいご本を拝読。

『焦らない、比べない あなたは、あなたでいい』

妙慶さんのご本らしく、深い教えを身近なことを題材に、わかりやすく伝えていただいています。

帯の言葉を紹介しておきましょう。

 できる自分、できない自分、両方あって、ひとりの人間です。

 「いまのまま」「ありのまま」を受け止めましょう。

できる自分を誇らしげに自慢したり、できない自分を必要以上に責めたり、いつの間にか私たちは、自分の有り様を受け止められず、心を痛めてしまいます。

仏教はそういう私たちに、「今のまま」「ありのまま」の自分でいいのだと教えてくれます。

妙慶さんのご本で、もう一度自分を受け止めてみませんか。

この本、九月下旬には、某コンビニの店頭にも並ぶそうです。(もちろん、書店にも)

気軽に手に取れる本ですので、ご一読おすすめいたします。

2009年9月 3日 (木)

川村妙慶さんの新著

春の永代経でご法話をいただいた川村妙慶さんの新著が出るそうです。(私も未見ですが)

「あなたは、あなたでいい」 (PHP研究所)

早く手にとって読んでみたいと思っています。

先月に続いての新著、今度の本も楽しみです。

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